「好きなことを、自分のペースで」3人のゲストが語る、女性のリアルなキャリア

第23回にじスタ スペシャル企画 開催レポート

「女性のためのお金の勉強会&座談会・にじスタ」は、育児中の方やキャリアに悩む方など、すべての女性に向けて月1回・平日午前に無料で開催している、お金と暮らしのしゃべり場サークルです。

2年目を目前にした2026年6月27日(土)、益城町「にじいろ」にて、第23回となるスペシャル企画を開催しました。今回は、フリーランスライターとして活動する田口絢子さんに参加者していただきレポートを書いていただきました。

今回はいつものお勉強会ではなく、「女性のキャリア」をテーマにした座談会形式。

素敵なキャリアを持つ3名のゲストをお招きし、「どうやって今の道を見つけたの?」「壁にぶつかった時は?」「仕事とプライベートのバランスは?」といった、ここでしか聞けない等身大のエピソードを、参加者みんなで語り合う場となりました。

会場は、畏まった雰囲気とはまったく無縁の益城町の施設「にじいろ」。小さな子どもたちがすぐそばで走り回るなか、ママたちが肩の力を抜いて本音を語り合う、なごやかな空気に包まれていました。

開催概要
日時:2026年6月27日(土)10:00~12:00
場所:益城町「にじいろ」
対象:育児中の方、キャリアに悩む方、すべての女性
主催者:FP office つむぎ 田中景子、フォトグラファー 甲斐こゆき

個性豊かな3名のゲスト

今回お招きしたのは、農業・タレント・キャリア支援と、それぞれまったく異なるフィールドで活躍する3名です。

井手口陽子さん(origami farm)
益城町で梅農家を営みながら、趣味の延長で始めたピラティスのインストラクターも務める「半農半X」の実践者。男の子3人を育てるお母さんでもあります。

村上めぐみさん(タレント/株式会社hikari代表)
熊本で20年活動するタレント。3人のお子さんを育てるママであり、女性がご機嫌に暮らせるような情報発信にも力を注いでいます。

里川早帆さん(株式会社きらり.コーポレーション)
フリーランスのライター・編集者として活動しながら、会社員として女性のキャリア支援にも携わる二足のわらじの実践者です。

それぞれのキャリアに至るまで――まっすぐではない道のり

最初のテーマは「どうやって今の道を見つけたのか」。3名の歩みは、いずれも一直線ではありませんでした。

井手口陽子さんの歩み

井手口さんは、小学生の頃からアトピーが酷く、自然に近い環境で育てられました。その経験から製薬会社でフルタイムで約10年勤務します。

しかし仕事の大変さに加え、「薬は本当に人を健康にしているのか」という疑問が芽生え、一度仕事を辞めてリセットすることに。

ちょうどその頃、義母の勧めで通い始めたピラティスにすっかり魅了され、講師の資格を取得。フリーランスのピラティス講師として新たな一歩を踏み出します。

また、以前から姉と「農業をやりたいね」と話していたこともあり、県の事業継承制度に農業の分野があることを知ります。同制度を通じて師匠と出会い、研修を経て梅農家の道へと進みました。

村上めぐみさんの歩み

村上さんがタレントの道を歩むきっかけは、高校時代に習っていたダンスでした。

師匠であるタレント事務所の社長に声をかけられてオーディションに合格し、18歳でタレント活動をスタートします。

大学在学中に友人たちが就職していく中、焦りや不安を感じ一度事務所を自ら退所する決意をしますが、考えを改めタレント業を「辞めない」という選択を続けます。24歳で独立してフリーランスに転身し、28歳でテレビMCに抜擢。

その後、出産を経て「子どもとの時間も大切にしたい」という気付きを得たことで、2人目の妊娠時にタレント業と別に会社を立ち上げる転機になりました。

里川早帆さんの歩み

里川さんは、自分でも「じっとしていられない性格」と語ります。学生時代は、並行して5つほどのアルバイトを経験する中で、編集・ライティングの楽しさに目覚めました。

大学卒業後は、地方紙が発行する生活情報紙「くまにちすぱいす」でライターとして活動。

仕事が楽しすぎて、福岡へ住む夫と結婚の結婚が決まった後も里川さんはしばらく熊本に残ることを選択。約1年後妊娠・出産をきっかけに退職し、福岡へ拠点を移しました。

それでも「子どもとの時間も大切にしながら、また働きたい」という思いから、業務委託でライターの仕事を獲得。フリーランスのライターとしてデジタルスキルやFPの資格取得も進め、さらにスキルを磨いていきました。

その後7年間の大分生活を経て、約10年ぶりに熊本へ。現在は女性の就労支援や広報の仕事を軸に、フリーランスの仕事も続けています。

3名に共通していたのは、「これと決めた一本道」ではなく、迷いや転機のたびに自分の気持ちと向き合いながら道を選び直してきたことでした。

壁にぶつかったとき、どう乗り越えたか

キャリアを重ねる中で、誰もが何かしらの壁に直面します。3名はそれぞれ、どう向き合ってきたのでしょうか。

会場でこの話を聞きながら、正直いちばん胸に響いたのがこのテーマでした。どんなに輝いて見えるキャリアを歩んでいる人でも、その裏では悩み、迷い、課題と向き合ってきた時間があったこと。

それを知るだけで、自分の壁も特別なものではなく、乗り越えていけるものなのだと思わせてくれるような時間でした。

井手口陽子さん

井手口さんは、目の前の出来事を「大きな壁」と構えることなく、その都度対応しながら無我夢中で進み続けてきたといいます。

子育ても大変でしたが、「将来『やっておけばよかった』と思いたくない」という気持ちを支えに、頑張っていること自体を忘れないよう心がけてきました。

何かを決断するときは、はじめから「辞める」という選択肢を入れず、直感と勢いで進むのが井手口さんのスタイルです。

村上めぐみさん

村上さんにとっての壁は、22歳の頃。友達が次々と就職していく中での不安でした。当時、仕事もそこまで多くなく、不安や焦りがめぐみさんを襲います。

そして、一度は退所する決意を固め、社長に直談判。そんなとき、事務所の社長からかけられた「お前が負けて終わるのが悔しい」という言葉が、「応援してくれる人を裏切りたくない」という前を向く力に変わったといいます。

日々の育児で壁にぶつかったときは、「~しなければならない」という思い込みを手放すことを大切にしています。

お風呂に入らない日があってもいい、ご飯はお惣菜でもいい。そう考えて罪悪感を減らし、その分ママがご機嫌でいられることを優先しているそうです。

里川早帆さん

里川さんにとっての壁は、引っ越しや転勤による環境の変化でした。自分の意思に反して、新しい環境へ移らなければならない状況に、悔しい想いをすることもあったでしょう。

それでも里川さんは、その気持ちをぐっと飲み込んで「置かれた立場で楽しむしかない」と切り替え、セミナーや勉強会などの交流会に積極的に参加。

同じ方向を向いた仲間づくりに力を注ぎました。学び続けることが、里川さんの原動力になっています。

仕事とプライベートのバランスをどうとっているか

働き方が多様になるほど、仕事と私生活の線引きは難しくなります。3名のスタイルは三者三様でした。

井手口陽子さん

製薬会社に勤めていたときはフルタイムで働き、土日は完全にオフという明確なメリハリがありました。

しかし現在は「半農半X」という働き方になり、仕事とプライベートの境目がグラデーションのように曖昧になっているといいます。

少し時間が空くと、ついやることを見つけてしまう。メリハリがつきにくく、メンタルが休まりにくいのが今の課題だと、井手口さんは率直に語ります。

村上めぐみさん

村上さんは、仕事とプライベートに大きな境目がないことこそ、自分らしさだと考えています。

「タレントらしくない、普通のタレント」でいることが強みで、子どもの失敗がそのままネタになるなど、プライベートの中に仕事が自然と転がっている感覚。

この働き方が村上さんにとっては自然体で、フラストレーションを感じることはないそうです。

里川早帆さん

会社員(女性のキャリア支援)と副業(ライター・編集者)を両立しているため、完全にオンとオフを切り分けることは難しいと里川さんは話します。

それでも大切にしているのは、「子どもに『おかえり』と言える働き方」。

取材の予定がない日は、子どもと過ごす時間を優先。一方で、旅行など自分が満足できることにはしっかりお金を使う。

時間もお金も、かけどころを決めてメリハリをつけているそうです。 

子どもの体調不良、どう乗り越えた?

子育てと仕事の両立で避けて通れないのが、子どもの急な体調不良です。ここでも3名は、それぞれの工夫で乗り切っていました。

フリーランスとして働く身としては、このテーマも他人事とは思えませんでした。

子どもが体調を崩したときの仕事の調整はもちろん、フリーランスという立場だと「この仕事がいつまで続くかわからない」という漠然とした不安がつきまとうもの。

同じような悩みを抱えながら、それぞれのやり方で乗り越えてきた3名の話には、深く共感させられました。

井手口陽子さん

井手口さんの場合、夫の実家がすぐお隣にあり、お母さんのサポートを得られたことが大きな支えになりました。

加えて、職場の理解があり休みやすい環境だったことも、安心して乗り越えられた要因だといいます。

村上めぐみさん

村上さんは、行政のサービスを最大限に活用しています。

ファミリーサポートやホームヘルパー、保育園の一時預かりなどを、「納めた税金を返してもらうくらいの気持ちで」積極的に利用しているそうです。

里川早帆さん

里川さんは、子どもが幼い時に実家を離れて暮らしていたため、やはり行政や民間のサービスをフル活用していました。

特に病児保育は複数の施設に登録しておき、いざというときに頼れる場所をできるだけ多く作っておいたそうです。

奮闘するすべての女性へ、3人からのメッセージ

最後に、仕事や子育てに奮闘する女性たちへ、3名からあたたかいメッセージが寄せられました。

井手口陽子さん

働いている人も、働いていない人も、子育ては本当に大変です。だからこそ、気負わなくて大丈夫。

子育てで大変なのは、宝物に祝福されているようなもの。自分を責めたり、縛ったりしなくていいんです。

村上めぐみさん

子育ては、毎日が思い通りにならないことの積み重ね。ご飯をいらないと言われたり、小さな傷つきがたくさんあります。

でも、人生をトータルで見たとき、それはちゃんと幸せな方向に向かっているんです。大きな区間で自分の人生を眺めて、心に少しの隙間をつくってあげてください。

里川早帆さん

苦手なことを頑張るより、好きなことをやること。掃除が苦手なら外注したり、夫に甘えたり。好きなことをするために時間やお金をかけることができたら、ぐっとハッピーを感じられます。

定期的に子どもが小さかった頃の動画や写真を見返すんです。大変だったはずなのに、それを見るとまた明日から頑張ろうって思える。

幼いお子さんを持つ方は大変なことも多いと思いますが、いずれこんな時期が来ることを知っていると、忙しい日々も少しだけ違って感じるかもしれません。

まとめ

農業、タレント、キャリア支援――。まったく異なるフィールドで活躍する3名でしたが、その歩みには共通する軸がいくつも見えてきました。

ひとつは、「好きなこと・やりたいこと」を選び続けてきたこと。まっすぐではない道のりの中でも、そのときの自分の気持ちに正直に道を選び直してきました。

もうひとつは、「気負わない」こと。完璧を目指さず、できないことは人や制度に頼り、自分がご機嫌でいられることを大切にする姿勢です。

肩の力を抜きながら、それでも自分らしい働き方を模索し続ける3名の言葉は、仕事や子育てに奮闘する多くの女性にとって、明日への原動力になったのではないでしょうか。

子どもたちが会場を走り回るあの光景そのものが、この座談会の空気感をいちばん物語っていたように思います。

主催者の所感

【FP office つむぎ 田中景子】
女性にとって、キャリアとプライベートのバランスは永遠のテーマだと感じています。満足のいくバランスを取るには、まず自分自身を知ることが大切。そして完璧を求めすぎないこと。

一番大切なことがひとつできていれば、自分に花丸をあげるくらいでいいのだと思います。居心地のいい状態をつくるために、何か一つでも行動してみること。

お金の使い方も時間の使い方も、人の正解と自分の正解は違います。だからこそ、自分にとってのベストを探っていくことが大切だと、あらためて感じました。

【フォトグラファー こゆき】
同世代の3人の等身大のお話。途中でウルっときたり鳥肌がたったり。私のこれからの自分の育児、仕事の活力になるお話でした。

お話ももちろんいい時間でしたが、座談会終了後の雑談タイム。これがまた本当によかった!ゲストの方に自由に質問したり、初めて会う方々同士が友達のようにニコニコお話してる様子、驚くことにうれし涙を流されてる様子を客観的に見て、2年前では考えられない光景に胸が熱くなりました。

第23回にじスタを、こんなに温かいものにしてくれた井手口陽子さん、村上めぐみさん、里川早帆さん、そしていつもにじスタを温かく応援してくれるみなさん本当にありがとうございました。