「公立だから大丈夫」は危険!小・中学校9年間の教育費、最大1,130万円の差が生まれる理由とは

「公立だから教育費は大丈夫」と思っていたら、入学準備だけで10万円近くかかって驚いた――そんな経験をもつ保護者は少なくありません。

小・中学校は授業料が無償ですが、実際には給食費・教材費・塾代など、さまざまな費用が積み重なります。

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立小学校の年間学習費は約36万7千円、公立中学校では約54万2千円にのぼります。

この記事では、小・中学校の教育費を公立・私立別に整理し、9年間の総額を4パターンで比較します。

また、FPの視点から「今から月いくら積み立てればいいか」を具体的にお伝えします。数字を把握して、漠然とした不安を具体的な行動に変えましょう。

授業料無償なのに費用がかかるのはなぜ?

「公立小・中学校は無償だから、教育費の心配はいらない」と安心していませんか?

実はこれ、大きな誤解。無償なのはあくまで「授業料」だけで、給食費や教材費など、学校生活に必要なお金はほぼ全額が家庭の負担なのです。

「知らなかった!」では済まない出費が、入学直後から次々と押し寄せてきます。まずは「何が無償で、何が有償なのか」を正しく把握しておきましょう。

授業料無償化とは?実際に免除される費用の範囲

公立の小・中学校は、憲法第26条に基づき授業料が無償です。教科書代も国が負担するため家庭の出費はゼロ。

でも、無償になるのはこの2つだけ。それ以外の費用はほぼ全額が家庭持ちというのが現実です。

「無償=学校にお金はかからない」と思い込んでいると、思わぬ出費に慌てることになりかねません。

授業料無償でもかかる費用一覧

授業料・教科書以外に、公立小・中学校では主に以下の費用がかかります。

費用の種類内容備考
学校給食費給食代として毎月納付年間約3万6千円
(文科省R5調査)
図書・学用品費ノート・体操服・絵の具セットなど学年・学校により異なる
修学旅行費・校外活動費遠足・修学旅行などの費用中学は数万円規模になることも
学校納付金等PTA会費・学級費など年間数千円~1万円程度
通学関係費ランドセル・制服・通学用品など入学時に集中して発生

とりわけ見落とされがちなのが「通学関係費」です。

ランドセルの相場は3~7万円、中学校の制服は2~5万円程度と、入学直前に一気に出費が集中するのが特徴。

「まだ先の話だから」と後回しにしていると、家計が一時的に大きなピンチを迎えることもあるため注意が必要です。

公立小学校にかかる教育費【6年間の総額】

文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、公立小学校の年間学習費総額は約36万7千円。6年間の単純合計は約220万円にのぼります。

「授業料は無償なのに、なぜこんなにかかるの?」と思ったあなた、実はその約70%が塾・習い事などの学校外活動費なのです。

学校に払うお金より、学校の外にかかるお金の方がずっと大きい――これが公立小学校の教育費の実態です。

学校外費用(塾・習い事)を加えるといくら?

年間約36万7千円の内訳を見ると、学校教育費(約7万4千円)・給食費(約3万6千円)に対して、学校外活動費はなんと約25万6千円。全体の7割近くを占めています。

学校外活動費の主な内訳は、塾・通信教育などの「補助学習費」と、スポーツ・習い事の「その他の学校外活動費」の2つです。

特に塾については、実際に支出している家庭に限った年間平均額が約19万3千円(同調査)と、決して小さくない金額です。

さらに見落としがちなのが、学年による変化です。同調査によると、補助学習費は6年生になると1年生の約2倍以上に膨らむ傾向があります。

「今はそこまでかかっていないから大丈夫」と思っていても、学年が上がるたびに支出が増えていくのが教育費の特徴です。

教育費を正しく把握するには、学校内・学校外の両方をセットで考えることが欠かせません。

公立中学校にかかる教育費【3年間の総額】

公立中学校の年間学習費総額は約54万2千円。小学校の約36万7千円と比べて、わずか数年で約1.5倍に跳ね上がります。

3年間の合計は約163万円。学校教育費そのものも増えますが、最大の要因は塾代をはじめとする学校外活動費の急増です。

「中学は部活があるから、塾はもう少し先でいいか」と思っていると、気づけば家計が追いつかない――なんてことも珍しくありません。

急増する「塾代」の実態

公立中学校の学校外活動費は年間約35万6千円で、そのうち約76%が塾・通信教育などの補助学習費です。

実際に塾に通っている家庭に限った年間平均額は、なんと約34万9千円(文科省・令和5年度調査)にのぼります。

さらに見逃せないのが、学年による急激な変化です。同調査によると、学校外活動費は学年が上がるにつれて大きく膨らみ、3年生では年間約44万6千円に達します。

月換算にすると約3万7千円。塾代だけでこの金額は、家計へのインパクトとして決して小さくありません。

高校受験を控えた中3は、まさに教育費のピークを迎える時期です。中学進学のタイミングで積立額の見直しを行っておくことが、慌てない家計づくりの鍵になります。

私立小・中学校にかかる教育費

公立と私立では、教育費の水準がまったく異なります。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」によると、私立小学校の年間学習費は公立の約4.8倍、私立中学校は公立の約2.9倍。

この差を正確に把握しないまま進学を決めてしまうと、家計が想定外のダメージを受けることも珍しくありません。私立を検討するなら、まずこの数字をしっかり頭に入れておきましょう。

私立小学校の学費(年間・6年間)

私立小学校の年間学習費総額は約174万2千円、6年間の合計はなんと約1,045万円にのぼります。

費用の中心は学校教育費(年間約97万8千円)で、そのうち授業料が約51万1千円(約52%)と最大の項目です。

公立小学校の授業料がゼロであることと比べると、私立を選ぶことの費用的な重みがよくわかります。

私立中学校の学費(年間・3年間)

私立中学校の年間学習費総額は約156万円、3年間の合計は約467万円です。

学校教育費は年間約112万8千円で、授業料(約45万8千円)のほか、入学金・施設費・学校納付金なども加わります。

一方、塾代などの補助学習費は公立中学校より少ない傾向があり(私立約23.7万円・公立約27.2万円)、手厚い授業内容によって塾が不要になるケースも。

授業料だけを見て「高い」と判断する前に、トータルの費用感で比較することが大切です。

中学受験を選ぶ場合、塾代も計上が必要

私立中学校への進学を検討するなら、入学後の学費だけでなく受験準備の塾代も必ず計上しておきましょう。

中学受験の準備は一般的に小学4年生頃からスタートし、6年生で本格化します。同調査によると、私立小学校6年生の学習塾費(全体平均)は年間約44万3千円。

なお、この数字は私立小学校在籍者のデータであり、公立小学校から中学受験を目指す場合は塾の費用が異なる可能性があります。

「受験を決めてから考えよう」では手遅れになりかねません。受験を視野に入れるなら、小学校在学中から準備費用を見込んだ計画を立てておくことが安心への近道です。

公立vs私立 小・中学校9年間を4パターンで比較

ここまで公立・私立それぞれの費用を見てきました。

では実際に「どのルートを選ぶかで、9年間の総額はどれだけ変わるのか」を整理してみましょう。文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」をもとに、4パターンで比較します。

パターン小学校6年間中学校3年間9年間合計
公立×公立約220万円約163万円約383万円
公立×私立約220万円約467万円約687万円
私立×公立約1,046万円約163万円約1,209万円
私立×私立約1,046万円約467万円約1,513万円

※各学年の年間平均額を単純合計したものです。

最も費用が少ない「公立×公立」と最も多い「私立×私立」では、9年間でなんと約1,130万円もの差が生じます。

「公立小学校から私立中学校へ」という最も選ばれやすいパターンでも、公立のみと比べて約304万円の上乗せ。

数字で見ると、進路の選択が家計にいかに大きな影響を与えるかがよくわかります。

ただし、これらはあくまで平均値をもとにした目安です。

塾・習い事・部活動などの学校外費用は家庭によって大きく異なるため、実際の負担はさらに変わる可能性があります。

「わが家はどのパターンが現実的か」――まずはこの数字を参考に、一度シミュレーションしてみることをおすすめします。

知っておきたい教育費の補助制度

教育費の負担を軽減するための補助制度は、実は複数存在します。「所得が高いから関係ない」「申請が面倒そう」と思っていませんか?

知っているだけで家計のゆとりが変わる制度もあるため、まずは内容を確認しておきましょう。

就学援助制度(対象世帯と申請方法)

就学援助制度とは、経済的な理由で就学が困難な家庭に対し、市区町村が学用品費・給食費・修学旅行費などを援助する制度です。

対象となるのは、生活保護世帯のほか、住民税非課税世帯・児童扶養手当受給世帯など、各市区町村が「準要保護」と認定した世帯です。所得の基準は自治体によって異なります。

申請は在籍する小・中学校または市区町村の窓口で行います。新学期に学校から申請書が配布されるケースが多いため、案内を見逃さないようにしましょう。

「申請しづらい」と感じる方もいますが、利用できる制度をしっかり活用することが、家計を守ることに直結します。

私立中学への補助金(自治体別の制度)

「私立は補助がないから…」と諦めていませんか?実は、国や自治体が独自の支援制度を設けているケースがあります。

文部科学省では「私立小中学校等就学支援金」を実施しており、年収約590万円未満の世帯を対象に最大年額10万円が支給されます。

申請は学校が代理で行い、授業料と相殺される仕組みのため、手続きの負担も比較的少ないのが特徴です。

なお、2026年時点で熊本県独自の私立中学校支援制度はありません。お住まいの自治体に同様の制度があるかどうか、進学前に必ず確認しておきましょう。

高校無償化についても把握しておこう

小・中学校の次に控える高校の費用についても、ここで簡単に触れておきます。

公立・私立高校ともに「高等学校等就学支援金制度」により、世帯年収に関わらず授業料相当額が支給されます。

ただし、「無償化=費用ゼロ」ではない点に注意が必要です。授業料以外の教材費・修学旅行費・塾代などは引き続き家庭の負担。小・中学校と同様、授業料以外の費用も見込んだ準備が欠かせません。

月いくら貯めればいい?今からできる積立シミュレーション

「教育費が高いのはわかった。でも、実際に今からいくら積み立てればいいの?」―ここからはFPの視点で、具体的な準備の方法をお伝えします。

子どもが小学3年生の今がなぜ「貯め時」なのか

教育費の積立において、小学校低・中学年は絶好のタイミングです。理由は2つあります。

1つ目は、支出がまだ比較的少ない時期だからです。塾代が本格化する小学校高学年・中学校以降と比べて、今は家計に余裕が生まれやすい時期といえます。

2つ目は、時間を味方にできるからです。大学入学まで約9年あれば、無理のない金額を長期間積み立てることができます。

スタートが早いほど、月々の負担を抑えられます。「まだ大丈夫」と先送りにするほど、後からの積立額は大きくなります。今が動き時です。

進路別 月々の積立目安額

大学入学時に必要な費用を目標に、今から積み立てる場合の月々の目安額を試算しました。大学までの期間を約9年(108ヶ月)として計算しています。

進路大学費用の目安月々の積立目安
国公立大学(4年間)約481万円約4.5万円
私立大学・文系(4年間)約690万円約6.4万円
私立大学・理系(4年間)約822万円約7.6万円

※大学費用は日本政策金融公庫「令和3年度 教育費負担の実態調査結果」をもとにした概算です。入学費用・在学費用(受験費用・通学費等を含む)の合計額です。高校の費用は含んでいません。運用なし・元本のみでの試算です。

「私立理系で月約7.6万円…さすがに無理かも」と感じた方もいるかもしれません。

ただし、この金額はあくまで大学費用のみを今から積み立てる場合の目安です。

すでに積み立てている貯蓄や児童手当の活用、NISAによる運用益なども考慮すると、実際の月々の負担はこれより小さくなる可能性があります。

まずは「今の貯蓄額でどこまでカバーできるか」を把握することが第一歩です。

児童手当をそのまま積み立てるだけでどこまでカバーできる?

見落とされがちですが、児童手当は教育費の強力な原資になります。

受け取った児童手当をそのまま使わずに積み立てた場合、中学校卒業までの総受給額は最大で約200万円前後になります(所得や子どもの人数により異なります)。

国公立大学を目指す場合、必要額(約481万円)の4割程度をカバーできる計算です。

「児童手当は生活費に消えてしまっている」という方は、今からでも別口座に移して積み立て専用にすることをおすすめします。

H3:NISAを使った教育費積立のポイント
教育費の積立に新NISAを活用する家庭が増えています。新NISAのつみたて投資枠を使えば、投資で得た利益が非課税になるため、同じ積立額でも将来受け取れる金額が大きくなる可能性があります。

ただし、投資である以上、元本割れのリスクがある点は理解しておく必要があります。

使う時期が決まっている教育費は、必要時期の1~2年前には安全な資産(預貯金など)に移しておくのが基本的な考え方です。

「増やす期間」と「守る期間」を意識した運用がポイントです。

学資保険は今からでも有効か?

学資保険は、万一の際に保険料の払い込みが免除される「保障機能」が最大の特徴です。

返戻率(払い込んだ保険料に対して受け取れる金額の割合)は以前と比べて低下していますが、「強制的に積み立てる仕組み」として活用する意義は今もあります。

NISAなどの投資と組み合わせて、「守りの学資保険+増やすNISA」という形で使い分けるのも一つの方法です。どの手段が自分の家庭に合っているかは、家計の状況や目標によって異なります。

まとめ|小・中学校の教育費で今日からできること3つ

この記事では、文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」をもとに、小・中学校にかかる教育費を公立・私立別に整理してきました。

「なんとなく不安」だった教育費が、具体的な数字になるだけで、やるべきことが見えてきます。最後に、今日からすぐ実践できることを3つお伝えします。

① 進路パターンを家族で話し合い、目標額を決める
公立×公立で約383万円、公立×私立で約687万円と、進路によって9年間の総額は大きく変わります。「どのルートを想定するか」を家族で話し合い、目標額を明確にすることが、準備の第一歩です。

② 児童手当を積立専用口座に移す
受け取った児童手当をそのまま生活費に充てているなら、今すぐ積立専用口座に移しましょう。それだけで最大200万円前後の教育資金になります。少しの仕組みづくりが、将来の家計を大きく変えます。

③ 家計全体をFPに見てもらう
「目標額はわかったけど、本当に足りるか不安…」そう感じたら、ぜひ一度FPへの相談を検討してみてください。家計の現状を把握したうえで、無理のない積立プランを一緒に考えることができます。

教育費の準備は、早く始めるほど月々の負担を抑えられます。「まだ先の話」と思わず、今日の一歩を、子どもの未来への確かな備えに繋げていきましょう!

「教育費の数字はわかった。でも、わが家の場合は本当に大丈夫?」そんな不安、まだ残っていませんか?
「積立はどの方法が合っている?」「今のペースで大学まで足りる?」「NISAと学資保険、どう組み合わせる?」――正解がわからないまま一人で悩む時間は、本当はもっと家族と話し合える時間だったかもしれません。

FP office つむぎでは、漠然とした教育費の不安を、わが家の数字に落とし込んだ具体的な安心に変えるお手伝いをします。まずは気軽に、お話ししてみませんか?